改正労働者派遣法―キャリア形成支援制度とは?

2015年9月に改正労働者派遣法が施行されました。その中でポイントとなるのが「キャリア形成支援制度」です。
これによって派遣労働者のキャリアはどう形成されていくのでしょうか。
制度の概要や今後の方針についてまとめました。

そもそも改正労働者派遣法って?

2015年9月、幾多の紆余曲折を経て改正派遣法が施行されました。
この法案は『呪われた法案』とも呼ばれ、何度も国会へ提出されては廃案になってきました。
ここではようやく施行された本法案がどのようなものかを見ていきましょう。

①派遣期間規制の見直し
②派遣労働者の派遣先の労働者との均衡待遇の推進
③雇用安定の義務化
④派遣労働者のキャリアアップ推進を法令化
⑤全ての労働者派遣事業を許可制に

詳しく書くとまだまだあるのですが、本法案で重要なポイントは上記の5つになります。
その中でも特徴的なものは、④の派遣労働者のキャリア推進制度を明文化したことです。
下記で詳しく見ていきます。

派遣労働者のキャリアアップ支援について

まず厚生労働省から出されているキャリアアップ支援についての告示を見てみましょう。

『派遣元は、その雇用する派遣労働者の全員を対象として、段階的で体系的な教育訓練を行うものとされ、このキャリアアップ措置は、有給で無償のものである(平成27年9月29日厚労省告示第391条)』。

要するに派遣元が雇用している派遣労働者について、無償かつ有給で教育訓練・能力開発などの研修を行うことが初めて法令化されたということです。
国は『年8時間以内の教育訓練』を行うよう定めている他、派遣労働者が教材費程度を負担すればさらに受講できるキャリア形成のための講座を開設することが望ましいとしています。

本当に守られるのか?

本当に守られるのか?

ここまでお読みいただいて、「本当にそこまでしてくれるのか? どうせなあなあになって終わるんでしょ」との感想をお持ちになるかと思います。
それについては、最初に挙げた5つのポイントのうち、⑤のポイントが大きくかかわってきます。

これまでは、派遣元の会社は、許可制の『一般労働者派遣事業』と、届出制の『特定労働者派遣事業』に分かれていました。
それを今回の改正により、全事業者を許可制へと変更します。つまりこれまでは届けを出せば開業できていたところが、許可を得られなければ認められなくなるのです。

そしてその許可を得る要件の中には、労働者への教育訓練等の実施状況があります。
またそれについての事業報告が求められ、行政のチェックが行われるようになります。

現行事業者についても、3年以内に新基準で許可を取得することが必要になりますので、このキャリアアップ推進を行わない事業者は存続していくことができないという仕組みになりました。

これまでは正規社員と比べどうしてもキャリア形成の面で遅れをとっていた派遣労働者。
しかしこれからは派遣元の研修+自分のがんばり次第でキャリア形成、そして当然そこからの正社員登用も見えてくることがお分かりだと思います。
派遣社員にとってはキャリアアップのチャンスが増えていくことも期待できます。